明かりの灯った宿の入り口も雰囲気があります。部屋で一息いれたら、「ご飯ですよ〜」と呼ばれたので出てみると、床と言われる中庭に面したところに夕食の参鶏湯を用意してくれました。素敵〜!と思わず声がもれます。器も盛りつけもどれもこれもセンスがいいです。参鶏湯とジャガイモのジョン、チャプチェ、パンチャンの盛り合わせと雑穀ご飯。お庭を見ながらいただきます〜。
どれもとてもおいしくて、丁寧に作られたご飯でした。
外に出て何を食べようかあれこれ考えるのも楽しいけれど、
一人旅だからこそ、こうして宿でゆっくり食べるのもいいですね。
聞こえるのは雀の声と小降りになった雨の音、
あとは厨房で聞こえる音くらいでした。
目の前の釜に火を入れ始めたので、
「ご飯を炊くんですか?」と聞いてみたら、
「これはチムジルバンを温めるんですよ」と教えてくれました。
電気やガスではなくて火で温めるのですね!
さすが昔ながらの宿です。味わいがあります。
こうして一人で優雅に食事をしていたら、韓国の女性2人組のお客さんがやってきました。ひとりで食事をしていたのでちょっと恥ずかしかったけど、少しだけ宿が賑やかに華やかになりました。
地方のなまりっぽかったから、上京した姉妹なのかな、友達同士なのかな。とあれこれ想像。たぶん向うにも怪しい日本人の女一人旅とか可哀想…って思われてるねw次はここに旦那を連れて来てあげたいなとか、母を連れて来たら気に入るかしらとか、いろいろ思います。
暗くなってきて、お腹もいっぱいになって、デザートは部屋に用意してもらいました。クルミの入った干し柿とスジョンガ。ほっとする自然の甘さ。
ふとチャングムを思い出しました。旅人が一気に喉を潤さないように茶碗に浮かべた柳の葉と、「どうして干し柿かって言われても、干し柿が入っているから干し柿って答えたのであって…」と、天才的な舌を持つチャングムのエピソード。チャングムが松の木の下に、甘酢でも埋めていそうな雰囲気の宿だけに。
チムジルバンは専用の作務衣に着替えて入ります。梅や松の素敵な模様があしらわれた土壁。韓方が置いてあって、生薬のいい香り。これがすごく気持ちがいい。
誰もいなかったのでごろんと横になりました。じんわりじんわり、ゆっくりと自然の力で体を温めてくれます。気づくとウトウト…。部屋に戻ってシャワーを浴びて、檜風呂にお湯をはって足湯して。そして布団に突っ伏して、いつの間にか爆睡してました。多分10時くらいには就寝〜。健康的な旅です。
つづく